きっかけ


最初はChatGPTと一緒に、ざっくりとしたアイデアを形にするところから始まりました。「Machi Koro」のようなテンポの良いサイコロ収入と、「Catan」のようなプレイヤー同士の駆け引きを組み合わせた、日本を舞台にした旅行ゲーム。対象は10〜15歳の英語学習者ですが、大人が遊んでも楽しめることを目指しました。


プロトタイプを1つ印刷してみると、案の定あちこち粗が見えてきました。マスの間隔が適当で、東京から大阪までも沖縄までも同じ距離。飛行機も新幹線もあるのに、歩いても同じ時間で着いてしまう。ルールも、思いついた順にどんどん足していったので、全体像がつかみにくくなっていました。


そこから、実際の日本地図に近い距離感でマスを引き直し、鉄道・新幹線・フェリー・飛行機それぞれに意味を持たせ、サイコロの出目ごとの収入ルールも「みんなが飽きない」形に整理し直しました。



このゲームのポイント


一番大事にしたのは、英語が「宿題」に感じられないことです。プレイヤーは移動のたびに交渉し、誰かを旅に誘い、旅の記録をジャーナルに書きます。文法問題を解くのではなく、ゲームを進めるために自然と英語を使う場面が生まれる設計です。


ゴールも工夫しました。5つの都市を訪れ、3種類の交通手段を使い、3つの体験をし、誰かと2回一緒に旅する——これを最初に達成した人が最終ラウンドの合図になりますが、勝つのは得点が一番高い人。早く終わらせることと、しっかり稼ぐことの両方に意味がある設計です。



子どもたちが気づいて、ゲームが育っていったこと


一番印象的だったのは、青森で身動きが取れなくなったグループです。北海道へ渡る手段がフェリーしかないのに、手持ちのコインが0。「別のルートを選んでいれば」という気づきは、まさに次のプレイに活きる学びでした。


そしてこの経験から、子どもたち自身から「飛行機があったらいいのに」というアイデアが出てきました。コインさえ貯めれば行き詰まりを避けられる、いわば「逃げ道」です。これは大人が最初から用意したルールではなく、実際に困った経験から生まれた提案でした。


サイコロの収入ルールも、プレイの様子を見ながら何度も調整しました。一番出やすい目(6・7)で確実にコインが入るようにしたのも、「コインが足りなくて動けない」というプレイヤーの実感から生まれた変更です。



自然に出てくる過去形・現在形・未来形


ゲームの中には、意識しなくても3つの時制が全部登場します。

  • 未来形:自分の手番で「I will take the train to Kyoto」と宣言して移動する
  • 現在形:誰かを誘うときの「Do you want to come with me?」というやり取り
  • 過去形:ゲーム後、旅行ジャーナルに「I came to Osaka by bullet train. I watched fireworks.」と書く振り返り

文法の説明をしなくても、ゲームの流れの中でそれぞれの時制を使う理由が自然にあるのが、このゲームの強みだと感じています。



四技能をひとつのゲームに


  • リーディング:体験カードや発見カードを読む
  • スピーキング:交渉したり、旅に誘ったりする
  • リスニング:相手の返事を聞いて判断する
  • ライティング:旅行ジャーナルに一日の出来事を書く

ひとつのボードゲームの中に、四技能がバラバラにではなく、旅というひとつのストーリーの中で自然につながっている。これが、机の上のドリルとは違う学び方だと思っています。



カードの一言を、自分で調べて具体的にする


体験カードや発見カードは、「山登りをして綺麗な景色を見た」「桜を見た」のように、内容自体はカードである程度決まっています。でも、それをそのままジャーナルに書くだけでは終わらせませんでした。


たとえば青森で「山登りをして綺麗な景色を見た」というカードを引いた子は、「じゃあ実際にどこの山?」「その景色はどこから見えるの?」と自分で調べ始めます。沖縄で「桜を見た」と書こうとした子は、そもそも沖縄で桜が咲くのはいつなのかを調べて、本州より早い時期に咲くことを知ったりもしました。


この「調べて具体化する」というひと手間が、英語の練習だけでなく、日本の地理や文化を自然に学ぶきっかけになっています。カードは入り口にすぎず、そこから先を自分で埋めていく過程こそが、このゲームでいちばん豊かな学びになっているように思います。


まだ調整中の部分もありますが、子どもたちの気づきそのものがゲームを次の形へ進めてくれています。


最後ですが、一番好きなボードゲームをコメントで教えてください。なんで好きかも追加できたら尚更嬉しいです。